読んだ本

もう、3月! 一年で一番気の重い仕事が片付いて、やりたい事を思う存分楽しみたい晴れやかな気分だったのに、気が緩んだのか風邪をひいて、ぐだぐだだった。今もそんなに良くない。気付くと永遠に終わらない気がしそうなくらいに仕事がたまっている。

 

『悲しみのイレーヌ』Travail soigné(ピエール・ルメートル Pierre Lemaitre 橘明美・訳 文春文庫)

人気があるからそのうち読んでみたかったのを、風邪で頭痛がひどくて転がっている時に。これから読む予定で、色々知りたくない方は以下を読まないで。

 

2001年にブラック・ダリアを模した殺人事件が起こったとして、「ブラック・ダリア」という言葉が1年以上どこからも出てこない世界なんて無いでしょう? だってブラック・ダリアだもの。事件の状況読んだだけで、ブラック・ダリアじゃん、て思ったし、その後の展開にびっくりした。デ・パルマの映画が出来たのがこの小説が発表されたのと同年くらいらしいのだけれど、エルロイの小説は翻訳されていたのだし、あたしはエルロイも読んでいないのに。知っていて当然とは思わないし、知らない人がいるのは全然問題無いけれど、ハリウッド・バビロンとか殺人事件なんて好きな人がいっぱいいるだろうから、そんな事件が起きて誰からも指摘が無いなんて考えられない。「その頃はまだtwitterが無かったからじゃない?」って言われた。今ならその日のうちにネットで世界中から指摘が来て明らかになるはず。でも、当時も掲示板みたいなものならあったのではないの? よく分からない。

アメリカン・サイコ』については、書かれているところまで分からなかった。日本製にこだわっているところが、なんだかもう少し前の年代を表現しているのかな、という違和感はあったのだけれど。『アメリカン・サイコ』は小説も映画もわりと好きだったのに、どんな殺人だったかの記憶が無い。映画は裸でチェーンソーを振り回していなかったっけ?

他の過去の事件に関しては、あたしは全て読んだことのないものだった。けれど、それもミステリって詳しい人が多いのに、それだけ色々と起こってどこからも小説との類似について指摘が無かったなんて思えなくて、なんだかあまりのれなかった。

主人公が身重の妻をいかに愛しているかという描写が多くて、タイトルがタイトルだから、「最後に妻の頭が箱から出てきたらキレるよ」と言いながら読んでいた。そんなに違わないよね。これは翻訳のタイトルがまずいと思う。少しずれるけれど、主人公を苦しめる目的で妻や子どもが殺される話が昔から嫌いで、「本人を殺すよりも、その愛する人を奪う事で余計に苦しめる」ような事を言ったりするものの、単に成人男性よりも力の弱くて反撃の少なそうなのを選んでいるんでしょ、って思ってしまうし、それに続く復讐劇も苦手で、昔はチャールズ・ブロンソンの事を「妻や子どもが殺されるまで働かない、殺される前にどうにかしろ」と言って嫌いだった。『荒野の七人』では良い人だっのに、今思うとすごい雑だ。
風邪なのに眠らずに読み進んでしまうくらい、読ませちゃう本ではある。

 

『無実はさいなむ』Ordeal by Innocence(アガサ・クリスティー Agatha Christie 小笠原豊樹・訳 ハヤカワ・ミステリ文庫)

ビル・ナイの出演しているドラマが見たくて、見る前に読んだ。ビル・ナイが主演だという情報しか知らずに読み始めて、当然のように最初に登場するアーサー・キャルガリに彼をあてて読んでいるとキャルガリの年齢が出てきて驚いて戸惑っていたら、ドラマを見た家族から、ビル・ナイは殺された人の夫の役だと教えられた。ドラマは録画してもらったはずなのに、まだ見ていない。

 

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

 

 

無実はさいなむ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

無実はさいなむ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)