12月に見た映画2

仕事がまずい。そろそろ仕上げないといけないものが、ほぼ手付かずで、さらに、やる気も起きない。おかげで誕生日祝いに自分で注文したDVDが届いたのにまだ見ていない。

もう2月だというのに去年の12月の話なんて、という気もするものの、あげると書いてしまったし、ほぼ書き終えてあったので、あまりまとまっていないけれど載せてしまう。

 

アメリカン・サイコ』American Psycho(メアリー・ハロン Mary Harron)

Netflixで。昔、公開時に「ホイットニーなんて聴いているの?」と笑ってその後殺されてしまった女の人を、「あたしみたいだな」と思ったのを思い出した。本当にお酒を飲んだ時等の失言には気をつけたい。

友達も「ススーディオ」の場面を笑っていたような気がするけれど、どういう笑いだったのか分からないが、セックスの時にあのような行動をとる男性、結構いない? しながら鏡に映った自分を見るのが好きというのも複数の口から聞いたし、変なポーズをとっている人も実際に見た。誰に向けてしていたのかよく分からないし、冗談なのかもしれないけれど滑稽で興覚めだった。セックスが好きというより、セックスしている自分が大好きというか、生身の他人を消費している自分が好きなのか。しばらく前に原作を久し振りに手にした時、フィル・コリンズについて書かれている部分だけ読み返して、「自分の思ってもいない事をこんなに書き連ねられて、作家ってすごいな」と感動していた。エリスはこれしか読んでいなくて本人についてもほとんど知らないから、実際のところはどうなのだか分からないけれど。あたしもすごくフィル・コリンズは好きだった。曲が華やかな「ススーディオ」は良いよね。

何かの受け売りのようなものでも披露したがるのも今ではマンスプレイニングという言葉が与えられているし、名刺の件などで見られる嫉妬とか、殺人以外は、彼独自のものでなくてわりとよく見られるものでは。チェックしていないけれど、既にtoxic masculinityという言葉で論じられたりしているのだろうな。

パトリック・ベイトマンは、もし今生きていたら60歳くらい? あの生活がそのまま続いていたら、今はどんな生活をしているのだろう。リーマンショックも経たし、当時の同僚は少しは消えてるのか。自分の容姿の変化とどう折り合いをつけているのか、現在の服装や持ち物、インテリアは? 余計な事を考えてしまう。

 

ピッチ・パーフェクト』Pitch Perfect(ジェイソン・ムーア Jason Moore)

Netflixで。『ブレックファスト・クラブ』を見て泣くシーンがあったので思い出した。この年、『ときめきサイエンス』『ブレックファスト・クラブ』『すてきな片想い』の3本を見て、すっごい苦手だと分かった。ジョン・ヒューズってほとんど見てこなかったものの、青春映画の基礎教養のように言われているし気にはなっていたので、Netflixにあったから良い機会だと思って見たら、1作見る度に、翌日一日中どこがどう辛いか、ここが信じられないとかずっと喋り続けていた。3本目の『すてきな片想い』はもう見るのをやめようかとすら思った。「今見ると、きついかもね」と言われたけど、たぶん当時かその10年後くらいに見たとしてもちょっと合わなかった気がする。

昔からポルノ小説はものによっては好きだったのに、漫画とか映画などもエロティックなのと笑いが一緒になったものがいやで、艶笑っていうの? 「お色気」っていう言葉が使われたコメディとか、とにかく苦手で、青春映画のコメディも居心地の悪いものが結構あるし、コメディというジャンル自体それほど見てこなかったような気すらするけれど、何がいやだったのか、なんとなく分かった。

男女関係なく、本人の意に反して服が脱げた様子を他の人に笑われたり、観客に笑えるものとして表されたものを見たくないし苦手。それから、スカートの中に頭を突っ込むような奴なんて好きにならないよ! それよりも小学校の頃にぼけっとしていたらスカートの中に頭を突っ込んでいたクラスの男の子、さらに怒っても周りから「椿ちゃんのことが好きなんだよ」で片付けられた事や、中学の時に隣の席の男の子が頻繁にあたしの脚を触わってくるので怒ったり悲鳴をあげると何故か先生にあたしが叱られたとか、自分の学校でされた数々の酷いことが思い出されてむかついた。奴ら、まだ生きているなら、これから死ぬまで毎日髪の毛にカメムシが絡まる呪いにでもかかって欲しい。髪の毛が無いのなら、眉毛や鼻毛でも可。男の子の性への関心が微笑ましく可愛くて無害のような、実際には被害者がいても、笑えることとして済ませられてしまうような表現が嫌いだったのだと思う。そして、そういう作品を見て育った人が、女性の裸や下着姿を見た時に「お約束」として喜ぶ振りをしておどけて見せてきたのも、気持ちが悪かった。長年引っかかっていた事が自分の中で少し理解できたような気になれて、それはそれで良かったのかもしれない。
それ以外にも、いじめられてびしょ濡れになった子どもを笑う大人って大丈夫か? とか一々イライラして疲れた。『ブレックファスト・クラブ』は自分でも驚くくらい楽しめなかった。『すてきな片想い』は効果音も辛い。『プリティ・イン・ピンク』もまだ見ていなくて、当時雑誌に載っていたモリー・リングウォルドの写真は可愛いと思っていたのに、ちょっと不安になってきたものの、これは監督が違うから大丈夫か。

 

『プリンセス・ブライド・ストーリー』The Princess Brideロブ・ライナー Rob Reiner)

Netflixで。楽しい。原作の方が面白いそうなので、そのうち読みたい。

 

『Mr.タスク』Tusk(ケヴィン・スミス Kevin Smith)

Netflixで。『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』『宇宙人ポール』を見て、アメリカにもオタクの二人組がいなかったっけ? と思い出したのがケヴィン・スミス。意外と面白かった。改造後の姿の、ぬめっとした気持ちの悪さと、つぎはぎの作り物っぽさのバランスが良い。

 

 

2019年、ここに書かなかったことで、いま浮かぶのは、クリントの『運び屋』がしばらく続いていたアメリカの英雄シリーズみたいなのから外れた題材で少しほっとしていたのと(でも今年見た『リチャード・ジュエル』はまた英雄シリーズだったけど)、『コレット』を見てクロディーヌものなどを読みたいと思っていたのに全然読めなかったということ。『天才作家の妻』がすごく面白かった。グレン・クローズクリスチャン・スレーターの二人が向かい合っている場面に興奮した。こういう彼が見たかった。

 

ヒッチコックトリュフォー』で、ヒッチコックの映画は映画が観客に語りかけるという観客への心配りの話から、現在は映画も観客も変わってしまって「映画はクライマックスの連続になってしまった」「ストーリーもクソもないめちゃくちゃな映画が多い」という場面でPULPのライヴの画像(レディングか何か)が映るのは何故なのか? 誰かが見ているスマートフォンに映っているという様子で。

久し振りに『めまい』を見たら、今見るとイラつく部分もあるものの面白かった。ジェームズ・スチュアートの『知りすぎていた男』で倒れる時の表情が好きなのだけれど、この作品でもくらっとしていた。『サイコ』も何十年振りくらいで見たら、シャワーどころか、なかなかモーテルにも辿り着かなくてじりじりした。あたしも「クライマックスの連続」に毒されているのかもしれない。

 

ラジオで「Head Over Heels」が流れていたので思い出した。仕事関係の付き合いでカラオケに行って「The Killing Moon」を歌っていた時に、年上の人から「聞いたことがある、映画で使われていただろう?」と何度も訊かれて、ドラマの『13の理由』なんて見ていないだろうから、その時は「知らない」と返した。その後、久し振りに見た『ドニー・ダーコ』の最初に流れていたから、これのことだったのかと思いかけたものの、その人は『ドニー・ダーコ』も見ているとは思えない人なので、何なのか今でも分からない。