『今宵、212号室で』『ホドロフスキーのサイコマジック』

『今宵、212号室で』Chambre 212(クリストフ・オノレ Christophe Honoré)

この映画の存在を知った時は、正直なところバンジャマン・ビオレキアラ・マストロヤンニを夫婦役で共演させるの、それもキアラの浮気がばれて夫婦の危機なんて、二人の世間のイメージと逆なのを狙っていたりするのかと(ゴシップに疎くて、この夫婦がどうだったのか全然知らないけれど)、若干警戒していたものの、監督のインタビューを読んだら全然そんなことはなくて、最初はバンジャマンへ依頼するのを遠慮していたそう。それで安心して見に行った。この二人はここ何年か一緒に仕事をしているし、何年前だったか、二人で一緒に歌っている動画を見かけた時は嬉しくてちょっと泣きそうだった。関係を解消した方々についてこういう事を言って良いのかよく分からないけれど、この二人が一緒にいるのにときめくみたい。

キアラ・マストロヤンニは、街で一瞬でも目が合ったらふらふらとついて行ってしまいそうな、抗えないオーラがすごかった。俳優ってすごいな。バンジャマンは、これまで彼が演じてきた中で一番かわいらしい役なのでは。『アナザー』でもコキュだったけれど、あちらは暴力的な夫だったし。

失敗や後悔とかそんなものを抱えたり、人を傷つけたりしてしまう完璧じゃない大人に優しい映画。視覚的にも楽しくて、DVDか何か買って何度も見たくなる。この監督の他の作品も見たい。

帰ってから、今でも時々かけている『Home』を聴いてまた泣きそうになっていた。もっと聴いていた頃は、この二人がそのずっと後に夫婦役で共演するなんて思ってもみなかったし、それがこんなチャーミングな映画になるとも、ね。

キアラの参加している曲。なんだかどこへもたどり着けなくてただただ夜中に車に乗っていたくなる。


Benjamin Biolay - ¡Encore Encore! ft. Chiara Mastroianni

 

それから、『ホドロフスキーのサイコマジック』Psychomagic, a Healing Art(アレハンドロ・ホドロフスキー Alejandro Jodorowsky)も行った。去年せっかくトリエンナーレでやっていたのに見逃していた。このところずっと寝つきが悪くて寝不足気味で、3分の1くらい眠ってしまった。もったいない。ちょっと単調というか眠たくなる映画だった。でもアルチュール・Hが出ていて驚いて目が覚めた。そういえばお父様が亡くなったのが2年前か。懐かしい曲を歌う姿も見られて嬉しいし、セラピーが他の方々のものに比べてソフトな感じでほっとした。ここしばらくあまり聴いていなかったけれど、帰ってからずっと聴いていた。昔ハーゲンダッツのコマーシャルに使われていた曲って何だったっけ? そういえば以前『ホドロフスキーのサイコマジック・ストーリー』という映画も見たけれど全然思い出せない。

 

感染症もすごいことになってきたし、天災とか人災とか色々と大変ですが、大丈夫でしょうか。もうちょっと限界なのか、月末を1日勘違いしてあれこれ早く振り込んだりしておりました。それにしても7月も終わってしまうなんて。