『ピラミッド帽子よ、さようなら』

『ピラミッド帽子よ、さようなら』(乙骨 淑子 長谷川集平・絵 理論社)を読み終えた。昔読んでほとんど憶えていないのだけれど面白かった記憶だけがあった本。最近ふと思い出したので。「この本を読んで、ピラミッド・パワーってものがあるのを知ったのよー」と喋っていたら「ピラミッド・パワーってものがあると信じている人がいることを、でしょう?」と訂正されてしまった。昔、ヒランヤの上に牛乳をのせてロッカーに隠して実験している子とか、学校にいたわね。数学の勉強ができるようにと、ピラミッドの形をした手製の帽子を被っている中学生の男の子が地球の内側の世界に行くお話。話は大きく複雑で、アトランティスエスペラントノアの箱船、地球空洞説、など、わくわくすることが盛り沢山。登場人物が皆生き生きとしていて面白い。椿先生という主人公の好きな先生が登場する。うふふ。主人公の女の子たちに対する感情がなんだかリアルで、ときどきドキッとさせられる。スルメと呼ばれる先生は、『アクアリウムの夜』で主人公が訪ねる先生を思い出させる。27回連載してあと2回で完成というところで作者が亡くなってしまい、他の人が作者の残したノートなどをもとにして完成させたのだそう。すごく残念。この作者の他の作品も読みたい。長谷川集平の絵が楽しい。クマさんっていう名前だからって、中学生のシャツの襟元から胸毛が見えている!