最近読んだ本

「触手」は以前から読むと良いといわれていたのでずっと読みたくて、少し前に入手したのでやっと。指のはらの紋々のうずまきの溝の間に自分の意識が溶けてしみ込んでいきそう。乗り物酔いのような酔い方をする文章。すごい。これは面白く読んだけれど、「にせあぽりあ」を読みかけたら途中で飽きてきてしまって読むのをやめた。そのうちまた読むかもしれないし、もう読まないかもしれない。

レイモンド・カーヴァーRaymond Carver)について、友人からのメールで触れられていたため、懐かしくなって久しぶりに奥から引っ張り出してきて何編か再読。「Cathedral」はどんな話かすっかり忘れていて原文で。彼の文はすごく読みやすいわね。「ぼくが電話をかけている場所」「足もとに流れる深い川」「出かけるって女たちに言ってくるよ」「ダイエット騒動」などは春樹の翻訳で。他には「ささやかだけど、役にたつこと」や「羽根」も好き。地震の翌日、少し熱があってベッドの中からTVのニュースを眺めつつ読んでいたら、こういう時期にカーヴァーを読むのは悪いことじゃないように感じられた。「ダイエット騒動」は、ついトム・ウェイツとリリー・トムリンのカップルを浮かべつつ読んでしまう。あの組み合わせは良かった。そういえばロバート・アルトマンの『ショート・カッツ』は最後に大地震があるのだけれど、あれは映画のオリジナルなのか、地震の起こる話がカーヴァーの作品にあるのか、忘れてしまった。