「青春のブライズヘッド」Brideshead Revisited だけ。貴族の落ちて行く様というのは、胸がしめつけられるものの、なんとも甘美。何年後かに、また読みたい。できれば原書で。映画化されたものも見たい。ジェレミー・アイアンズの方(こちらはドラマなのかしら)も気になるけれど、クマちゃんを抱えたベン・ウィショーが! Castle Howardの写真にうっとり。
- 『生ける屍』Walking Dead(ピーター・ディキンスン Peter Dickinson 神鳥統夫・訳 ちくま文庫)
ちくま文庫で出ると知った時は、驚いた。あの魅惑的なイラストのカバーで読みたいという贅沢も云っていられないし、買ってきて読む。すごく面白い作家だと聞かされつつ、読むのは初めて。もっと早くに読まなかったことを後悔するくらい、好みの文章。気持ち良い。次は『ガラス箱の蟻』を。
評判も良くて気になっていて、本屋でペーパーバックを手に取っては、読み終わる前に翻訳が出るよなあと思って戻していたのを、やっと。読み始めると止められなくなってしまうから、もし仕事のある日の前夜寝る前に読み始めたら、夜明けまでに読み終わらないし、次の日仕事をさぼって読み続けてしまいそう。最後はなんだか笑えてしまう。主人公たちの置かれた状況や恋愛の冷めて行く様子が、一つ一つ生々しくて、いつまでも引っかかる。この作家の他の作品も読みたい。今は実家に貸し出し中。そういえば、エイミーの日記に書かれた、出会った日のニックの印象が「まるで一九八〇年代の青春映画に出てくる意地悪な金持ちの息子みたいなルックス」で「友達のいない内気な少年をさんざんいじめて、最後には食堂でパイを投げつけられて、立てた襟をホイップクリームでベタベタにして笑い者になったりするような」って、ジェームズ・スペイダーよね? 彼以外に考えられない。
以前『黄金の眼に映るもの』を読んだ時に、息苦しい程暑い夏に読みたいと思ったので、夏まで大事にとってあった。ごく一部の人を除いたら、人を理解しようとか人に理解してもらおうとかって考えない方が良いんだろうなあと、少し前に改めて感じされたばかりで、それでも、こんなふうに突きつけられると、しばらく動けなくなってしまう。それにしても、報われない愛は、素敵。
- 『春にして君を離れ』Absent in the Spring(アガサ・クリスティー Agatha Christie 中村妙子・訳 ハヤカワNV文庫)
クリスティーって中学生くらいの時に2、3冊読んだような気がする。意地が悪くて良い。こんなに面白いなら、他の作品も。とりあえずは、訳者あとがきで紹介されているウェストマコット名義の作品を読んでいきたい。「君をしも、夏の日にたとうべきか」、このシェイクスピアのソネットは好き。こちらも、きちんと読み返そう。イギリスでは夏はあまりにも短いのかもしれないけれど、最近の日本の夏は長過ぎる。