『欲しがる女』

『欲しがる女』Irréprochable(セバスチャン・マルニエ Sébastien Marnier)
DVDをレンタルで、年を越す前に。バンジャマン・ビオレが出演しているからなのだけれど、彼は暴力的で少し変態的な人の役で、それがなんだか似合っていて笑えた。原題は「非の打ち所のない、申し分のない、完璧な」という意味。皮肉の効いた感じで良い気がする。邦題は扇情的でミソジニーも感じるし、何度も書いているけど、見る人の解釈をある方向へと誘導するような邦題は嫌いだ。
主人公は40歳の無職で、地方に帰っても経験者の自分よりも未経験の若い人が採用され(過去にも問題ありそうで採用されないのも仕方がないっぽい)、お金も無いし、母親は入院しているし、必死になるのは当然で、やっていることが滅茶苦茶で努力の方向も間違っているものの、日本も年を重ねると仕事を探すのが難しくなるし、途中まで、行け行けもっとやれ! って応援していた。主人公の言う事も全然信用できないけれど、元の仕事を失ったのもセクハラが関係していたら、彼女も被害者だし。何の落ち度もない若い女性は単純に気の毒。入院中の母の真相が面白かった。ラストも悪くない。
バンジャマン演じる人には何も感じないものの、阿呆みたいな車(嫌いじゃないけど)に乗った主人公の元恋人の、精神的に成長してない感じが気持ち悪くて苦手。フランスの映画に成熟していない大人なんて沢山いて、その様子が魅力的ですらあったりするのに、彼は普通にいそうな生々しい感じがなのか、とにかくイヤ。近付くと碌なことが無いしね。彼を演じるジェレミー・エルカイムは悪くない。