『女だけの町(クランフォード)』

『女だけの町(クランフォード)』(ギャスケル 小池滋・訳 岩波文庫)を読み終えた。実際にその名の通り、男性の少ない女性ばかりの町に住んでいたら、あたしはきっと村八分にでもされそうで怖い。町も登場人物も皆魅力的で、読んでいて心地良い。読書家で、散歩しつつ大声で詩の一節を引用したりするミスター・ホルブルックが素敵。あんな人のプロポーズを断ったのなら一生後悔しそう。
クランフォードに住む身分のある淑女は「人目にたつ店などで自分より低い身分の者どもに、驚きや狼狽や、その他そういうたぐいのものをこれっぱかりもおもてにあらわすのは、品位にかかわる」というところでは、『おにいさまへ...』の、使用人の前では涙を見せなかった幼い頃の宮さまを思い出した。この精神を見習いたい。
作品の中で何度も名まえの出てくるジョンソン博士、このサミュエル・ジョンソンの、読んで楽しいといわれる英語辞典を読んでみたい。