6月に見た映画ソノ6

『毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』FUR AN IMAGINARY PORTRAIT OF DIANE ARBUS(監督:スティーヴン・シャインバーグ)を見に行った。この監督の前作『セクレタリー』が好きなので。ずいぶん前に見たきりであまり憶えていないのだけれど、コクトーの『美女と野獣』を思い出させた。
3週間くらい前から、何故か男性の毛深い腕が脳裏にちらつき、腕以外の部分が見えないので、淡い茶色のふわふわした毛の腕の持ち主を探すために、男性と会う度にその腕をちらちらと盗み見たりしていたものの、誰の腕だか分からず。1.全く記憶にないが、この腕に抱かれた、2.自覚していなかったが、実は毛深い男性が好きだ、3.この暑い中、着ぐるみが着たい、などとこんなに腕が気になるわけを考えたりしていたけれど、やっと、あたしの欲していたのがこの作品だったのだと気付く。
ライオネルの豊かで艶やかな毛が素敵で、本当に触りたくなりそう。最後に、野獣から王子さまに戻ったときの、くたびれた顔をしたもう若くない身体が、とても美しく見えた。ロバート・ダウニーJr.って、特に好みでないはずなののに、いつもなんだか魅力的。ストーリーは、時々、振り返りたくない自分で気付きたくないものを見せつけられているようで、辛くなるところも。建物、色、衣装など、すごく好みで、見ていると胸がいっぱい。去年が『薬指の標本』なら今年は『毛皮のエロス』、というくらい気に入る。