『睡蓮の教室』

『睡蓮の教室』(ルル・ワン Lulu Wang 鴻巣友季子・訳 新潮社)を読み終えた。なんで彼女が中国人の作家の翻訳を? と疑問だったのだけれど、北京生まれでオランダに渡ったルル・ワンが、オランダ語で書いた小説『Het lelietheater』の英訳版『The Lily Theater』の全訳とのこと。とはいえ、オランダ語の原書や中国の資料を参考にしていたり、この長い作品の翻訳の作業は想像を超えていそう。「文革の話は辛いですよ」との警告は受けていたものの、本当に読んでいて、ぐったり。少女がどれだけがんばっても、報われるどころか、さらに突き落とされる、なんてお話はね。けれど、圧倒されて読まされてしまう。最後は急な展開にびっくり。たぶん鴻巣友季子の名前がなかったら気付かず手に取らなかったかもしれないので、興味を持たせてくれたことに感謝。続篇の『リラの夢』も発表されているのだそう。
睡蓮の教室 (新潮クレスト・ブックス)