『女王様と私』

女王様と私THE QUEEN AND I(スー・タウンゼンド Sue Townsend 橘雅子・訳 第三書館)を読み終えた。エイドリアン・モールのシリーズの作者による作品だったので気になって。1992年に発表されたもの。サブリミナルの広告で圧勝した共和党によって、イギリスのロイヤル・ファミリーがバッキンガムから追い出されて労働者階級の人々の中で普通の生活をさせられる話で、ここではまだダイアナはチャールズと別れていない。実名を使ったフィクションでかなり笑える。女王様が素敵。
ただ、文中で日本の王女、清子が父と約束して読んでいる本が『船に乗った三人』、すでに読んだ本として『ウィンド・イン・ザ・ウィロー』と『不思議の国のアリス』、『ジェマイマ・パドルダック』、『プー・コーナーの家』があげられていたのだけれど、『プー・コーナーの家』って『プー横丁にたった家』のことでしょう? 有名な翻訳があるのにどういうこと? で、他も気になって調べたら『ウィンド・イン・ザ・ウィロー』は『たのしい川べ』(THE WIND IN THE WILLOWS)、『ジェマイマ・パドルダック』はピーターラビットの『あひるのジマイマのおはなし』(THE TALE OF JEMIMA PUDDLE-DUCK)、どちらも有名で、憶えていないもののあたしだって子どもの頃にたぶん読んでいるはず。石井桃子の訳はお気に召さない? 古い訳が気に入らないなら好きにしてくれてもいいけど、後の2つはどんな本かイメージできないじゃないのよう。『船に乗った三人』だけ心当たりがなくて「船」とか「三人」とかで検索しても分からず困っていたところ、ちょうどバルタザールから電話があったので「原題も分からないのだけれど、「船に乗った三人」っていう意味に近いタイトルでイギリスの有名な児童書知らないかしら?」と聞いてみたら、『ボートの三人男』(THREE MEN IN A BOAT)! 原書がないから確認できないけれど、きっとまさしく、それ。素敵! これは知らなかったけれど有名なのだそう。勝手な邦題つけないで。
それから、HELP THE AGED(PULPにこんな曲があったわよね)のことを「ヘルプ・ザ・エイジド」って書いているし。妹があたしをなだめるためにいうには「『ザ』って書かないと日本人は『the』のことだと分からないかもという配慮なんじゃない?」って。なるほどね。
英語もできないし英国通でもない人間がこれだけご立腹って、うふふ。
女王様と私