『スカトロジア』

『スカトロジア 糞尿譚』(山田稔 福武文庫)を読んだ。人の本棚で以前から気になっていたものを借りて。朝方、寒気がしてガタガタ震えて眠れなくなってしまい、なんとか寝て起きてからも頭が重くてずっとベッドの中で読書していた。すごく面白い本とはいえ、こんな本を読みつつ途中でお腹が空いてきて、チョコバーという状況からして非常に微妙な外観の食べ物を口にしてた自分に、少し呆れる。その後も「お粥を作ってあげましょう」との言葉に「イヤイヤ、肉が食べたい、肉!」とベッドの中で足をじたばたして、結局焼肉を食べるなんて病人は居ないわね。粥、雑炊、おじや、茶漬け、ご飯が水吸ってぶよぶよしたようなのは嫌いなの。
誰の何という作品の一部か忘れたけれど昔読んだ文章に、イギリスで寮生活をしているインド人留学生が、トイレの使い方が分からなかったようで、他の学生は、彼の使った後のトイレがいつも汚れているのが謎だった、というようなところがあって、その留学生は洋式の便器の上に靴履いた足で上がってしゃがんでいたらしく、そんなバランスとるのが難しいでしょうに、と、印象的だった。それを読んだ後で、パリのカフェでトイレに入ったら便座が無くて、仕方なく透明椅子みたいに腰を浮かし気味に使ったことがある。「マリみて」シリーズでイタリア修学旅行の巻に、主人公がカフェか何かのトイレに入ったら同じように便座の無いトイレがあり、主人公はあたしと同じスタイルで用を足したという部分があり、彼女の友達はどうもインド人留学生みたいにしたらしいのだけれど、自分の時のことを思い出して笑った。この『スカトロジア』にも、著者がパリで便秘になったという章で、和式で育った世代だからか、洋式便器の上に上がってしゃがまないとりきめない、なんていう人が登場し、意外と洋式便器に上がる人が多いことに感心した。
これを読む24時間以内に話題にしていたフィリップ・ロスの『ポートノイの不満』やチョーサーの『カンタベリ物語』が、まだ手をつけていないラブレーや『夜の果ての旅』、『怪船マジック・クリスチャン号』なども、この本で繋がるとは。どれから読むか迷ってしまう。
この本で紹介されていなくて好きなのは『ジャンヌの日記』と『おっぱいとお月さま』かしら。『スウィート・ムービー』とか『スカトロジー・ダンディズム』はあんまり憶えていない。