魔法がとける

バルタザールの部屋で少ししゃがんで喋って立ち上がると、くらりと立ちくらみ柱につかまってじっとしていたら「吐くなよー」といわれました。昔なら大丈夫かととんで来てくれましたが、あまりに頻繁にあるからか「しゃがめ、しゃがめ」と声をかけられるだけになり、とうとう「(本の上に)吐くなよ」と。あたしは、もう彼のお姫さまではなくなったのだと、悟った瞬間でした。うふふ。夜中の12時にぱちんととけてしまう魔法より、一年くらいかけてじわじわと失われていく魔力というのは、なんとも現実的で切ないわね。