歌川国芳展

ポスターで見かけて知ったのだけれど、名古屋市博物館にて歌川国芳の展示があるらしい。博物館のサイトを見たら10月18日〜11月13日。常設展の中のスペースのようなので大きな規模ではなさそう。でも、嬉しい。以前、企画展でしっかりやった時は面白かった。5月に天王寺大阪市立美術館で開催されていた「没後150年 歌川国芳展」に行った記録を、こちらへ載せるのを忘れていたので、遅くなったけれど転載しておく。今は静岡で開催中かしら。数日前に初めて聞いたのだが、東京の太田記念美術館でも国芳展があったとは。 すごいなあ、今年は。


大阪の歌川国芳展に行った。日曜美術館で紹介されたばかりだからか週末だからかひどく混んでいて、前の人の肩越しでなくきちんと全部見ていこうとしたら、ものすごく時間がかかりそうだった。国芳の展示は何度も見てきたけれど、こんなに混んだことはなかった。作品のリストを見ると前期後期でほぼ総入れ替えしていた。近所なら2回来たかった。名古屋の観客もよく喋るのだが、大阪の人もよく喋っていた。白線を平気で越えて作品に手を触れんばかり。

海で男が鰐を抱え込んでおり、その右上にもう1匹の鰐が水しぶきをあげて跳ねている絵の前にて。音声ガイドをぶらさげた男性がつれの女性に「ここで捕まえたやつ(鰐)をこっちへ放り投げて、違う時間軸の様子が1枚の絵の中に描き込まれた絵なのだ」と、もっともらしく説明していた。が、タイトルを見ると「源頼家公鎌倉小壺海遊覧 朝夷義秀雌雄鰐を捕ふ図」。雌雄ってことは2匹でしょう? うふふ。

肉筆画や版木などのほかは見たことのあるものが多いので、同行者は物足りなさそうだったけれど、こういう機会でもないと見られないから良いじゃないの。 「にゃんこでできたドクロ柄の着物が着たいよう」といって、ものすごく嫌がられた。

「6枚続の絵があったでしょ。あれ、繋がっていないんだよね。覚えている?」というから、買ってきた図録を開いて見てみた「四条縄手の戦い」。多くの矢が降ってくる絵で、歴史に疎いあたしは『ワイルドバンチ』みたいだと思ったのだけれど、同行者は「『明日に向って撃て!』の最後みたいな絵」といっていた。考えることが一緒だ。それで、その絵なのだけれど、よく見ると継ぎ目のところで、本当に絵が繋がっていかない部分があった。矢が上下にずれているのは絵の置き方の問題なのでおいておくとして、矢が途中で途切れてしまっていたり、左から2枚目と3枚目の繋がりがは、衣や刀の鞘が途切れていて変。解説を読むと左3枚と右3枚の作画時期がちがうのだそう。左から2枚目と3枚目の継ぎ目がおかしいのは、刷られた時期が違ったり痛んだ部分が隠されたりしたのか、素人なのでよくわからない。絵を見ていない人には、なんのことだかわからないと思うので申し訳ないけれど、静岡・東京も巡回するので、ご興味のある方はどうぞ。一緒に眺めていれば、その場で本物をじっくり確認したのに、勝手に別々に鑑賞していたため、実物の前では血まみれの様子に、一人にまにましていただけだった。それにしても、よく見ているよなあ、と思う。