読んだ本

これもペーパーバックを手に取ってみたりしつつも、そのうち翻訳が出ないかなあと期待していたのが、出た。半ばで人間関係も事件の真相も大体わかってしまったけど、読み始めると止められなくて、休日の前夜くらいに読み始めるのが良いのではないかしら。仕事や学校があっても、さぼりたくなりそう。何をおいても先が知りたくてすごい勢いで読むというのは、気持ちが良い。今とは全然様子が違うのだろうけれど、昔、少しだけロンドンの郊外に滞在していた時に、ロンドンの中心部に遊びに行くのに電車に乗った風景等を思い出していた。複数の人の独白で繋ぐとか、主人公の記憶が無いとか、もう皆飽きてないの? という気もしなくはないものの、読ませるのは主人公の生活の描写が生々しいからか。あまり他人事じゃない感じで辛い。人の記憶って本当に危うくて怖い、と思うことが日常的にも多くて、なんだか色々と考えてしまった。

  • 『The Old Man and the Sea』(Ernest Hemingway Penguin Books)

昔なら、老人が海で魚を釣る話なんて、全く読む気が起こらなかったと思う。表紙が少し洒落ているペーパーバックを均一で見つけた。船に関する用語等を調べるのが少し面倒臭かったけれど、読んでいて気持ちの良い文章。他にももっと読みたくなる。昔読んで全く好きになれなかった『A Farewell to Arms』も、今読めば全く違う感想になるのかもしれない。魚を捕ることへの葛藤は、武田泰淳の『ひかりごけ』や埴谷雄高の『死霊』を思い出させた。


ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)   ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)