『ワシントン・スクエアの謎』

『ワシントン・スクエアの謎』The Washington Square Enigma(ハリー・スティーヴン・キーラー Harry Stephen Keeler 井伊順彦・訳 論創社

すごく読みたかったのに、買ったら安心したのかずっとそのままにしてあった。期待を裏切らなくて、面白かった。小説のアウトサイダー・アートというのか、まともな感覚の職業作家なら書かないだろうなあというような文章。ものすごい偶然の連続。色々と過剰。途中で「登場人物も手がかりも出そろいました。謎を解くことは可能であるはずです。……今ここで答えを出してから、お先へどうぞ。」というページがあって、あたしは犯人とか別に誰でもどうでもいいのでそのまま読み進めたら、余裕で誰も知らされていなかった事や動機が出てくる。満足。人には全然すすめないけれど、楽しいし好き。

ただ、気になったのがP120の12行目、「ハーリングがいきなり言いだした」とあるの、ハーリングじゃなくてヴァンデルヴォールトじゃないの? ハーリングは隠れていて、トルーデルとヴァンデルヴォールトの会話の場面だもの。

キーラーといえば、以前教えてもらって買ったのは『The Green Jade Hand』だったのかな、緑の6本指の手がカバーに描かれていた。こういう変な文章を英語で読む自信がなかったのでずっと読んでいなかったのだけれど、読みたくなってきた。でも、彼の文章って翻訳を読むにも結構パワーを要するのね。体調良くなくて頭痛がするからベッドに転がって読んでいたら、なかなか進まなくて。身体を鍛えるか、英語で読む力を早くもっとつけるかしないといけない。

ワシントン・スクエアの謎 (論創海外ミステリ)

ワシントン・スクエアの謎 (論創海外ミステリ)