『グロテスク』

『グロテスク』(パトリック・マグラア 宮脇孝雄・訳 河出書房新社)を読み終えた。前にもどこかで書いたような気がするけれど、クローネンバーグの『スパイダー』を見に行ったときに、友人が「一人称が狂っている話は面白いね」というので、「植物人間の男が、奥さんと執事のせいでこうなったと思い込んでいるような、やっぱり一人称が狂っているような小説があったわよね」というと、その『グロテスク』は今見た映画と同じ原作者の作品だと教えられ、本も貸してもらったのだ。ということは、何年借りっ放しだったのよ、ああ、ごめんなさい!! 

だんだん、わくわくしてくる。シェパーズ・パイが美味しそうだった。近いうちに作りたい。クリスマスの聖歌隊に「ミンチ・パイ」をふるまう場面があり、Mince Pieって、クリスマス時期だし、ドライフルーツをケンネ脂と酒に漬けたミンスミートのパイのことでしょう? って気になったけれど、宮脇孝雄は料理の本を書くほどのお方で、1992年の本とはいえこの英国のクリスマスのお菓子をご存知でしょうと思うと、これってどういうこと?? あれこれ考えていたら、Mince Pieはその名の通り昔は本当に肉のパイだったことを思い出した。その後、肉にドライフルーツを混ぜるようになり、今のように変わってきたはず。手許に詳しい資料がないため、いつ頃どうだったのかは不明。この小説の時代の設定が1940年代末とのことで、この頃はまだ肉のパイだったということかしら。んー、食べ物にしか反応していないみたいね。でもこの作品において、肉ってちょっと重要なポイント。

以前から気になっていたスティング主演の映画も見たくなった。スティーヴン・マッキントッシュも出ているみたい。

『スパイダー』はこれとあまり変わらないような気がするので、次に読むなら『血のささやき、水のつぶやき』かしら。タイトルがそそる。