『地下室の箱』

『地下室の箱』RIGHT TO LIFE(ジャック・ケッチャム 金子浩・訳 扶桑社ミステリー)を読み終えた。アメリカ版の表紙なら、恥ずかしくてきっと買えない。お尻に焼き印って、O嬢ね。きれいな可愛い人がせめられるのは楽しいけれど、『隣の家の少女』もこれも読んでいて辛くなってくるのは、たぶん監禁される女性が風呂に入れなかったり暴行されたりした結果が身体に表れている様子をきっちりと描かれてしまっているからのような気がする。幽閉された美少女や美女は、たとえ現実的でなくても最後まで美しいままでいて欲しくて、ふるう者が魅力を感じていないものに対する暴力はあまり見たくない。

さて、ケッチャムは『老人と犬』を読んだときに、今後彼の他の作品を読んだとしてもこれが一番好きだろうなあと思い、今でもそう思っているのだけれど、それは友人からの借り物でそのうち返さねばならぬのが少し寂しい。『老人と犬』は、なぜか老人役にクリント・イーストウッドをあてて読んでいて、自分でも納得するような認めたくないような不思議な感じだったが、訳者のあとがきに「ケッチャムは、もっとも気にいっている作品だという『老人と犬』の主人公ラドロウ老人を、クリント・イーストウッドをイメージしながら書いたと述べている」とあって驚いた。ちょっと嬉しい。
地下室の箱 (扶桑社ミステリー)