『007 慰めの報酬』

『007 慰めの報酬』QUANTUM OF SOLACE(監督:マーク・フォースター)を見に行った。相手がマチュー・アマルリックならボンドなんてどうだっていい、とか、ブロスナンのボンドが一番好き、新作を見てもそれは変わらないような気がする、なんて書いてきたけれど、うふふふ、あははは、スミマセン。最初からどっと疲れるようなカーチェイスで、お約束のテーマ曲は流れないし(でも、あのグラフィックはおしゃれで好き)、どうなるんだろうって思っていたら、いつの間にか夢中。終わったら、またすぐに見たいと思ったほど。脚本にポール・ハギスが参加というのも楽しみではあったけれど、その分、軽さは期待していなかった。「面白くてかっこ良くて満足とはいえ、最近また見ているロジャー・ムーアの頃の作品ののんきさやユーモア(別に笑えないのだけれど)も好きなのよね、ジョーズとか全然怖くなかったし。今度の007で唯一笑えるところって、階段から転がり落ちたアマルリックの手下のカツラがずれるところくらいじゃない(そこだって、実際に笑ったわけではないが)」というのが、妹と話していて一致した感想。華が無さそうな気がしていたダニエル・クレイグは思いの外、色気が。オルガ・キュリレンコはやはりかわいい。マチュー・アマルリックもいつもほどの魅力は感じられないけれど、素敵。斧を振り回すところなど笑ってしまう。中条省平が「テレビでフランス語」3月のテキストに「007相手の戯画化された悪党では、アマルリックの才能を十全に発揮することはできませんでしたが」と書いていて、まさにその通り。