『怪船マジック・クリスチャン号』

『怪船マジック・クリスチャン号』THE MAGIC CHRISTIAN(テリイ・サザーン Terry Southern 稲葉明雄・訳 早川書房)、かなり前にいただいていた本を、風邪で寝転がっているしかないときに読んだ。大富豪グランド氏の、かなりしょうもないいたずらの連続。「ニューヨークのウォール街といえば、まず日本なら兜町といった格で、」なんてところを読むと、原文はどうなっているのか、と笑ってしまうのだけれど、訳者あとがきに「私個人が多少編集をくわえて」とか「口当たりよいように筆を加減」とあるので、そういうことらしい。確かに翻訳臭さのない調子の良い日本語。1970年の日本は、ウォール街にそんな説明が必要な時代だったのかしらん。小林信彦の「映画におけるテリイ・サザーン」を楽しく読む。そういえば、ちょうどベッドのわきに積み上げられた本の中には、最近貸していただいたゴア・ヴィダルの本もあるのだった。あれを読まなきゃ。