『すべてを食べつくした男』

『すべてを食べつくした男』(ジェフリー・スタインガーテン 柴田京子・訳 文春文庫)を読み終えた。これまで何度も小出しに書いてきたけれど、面白い。最初の数頁を読んだだけで、すっかり彼の虜に。
『ヴォーグ』の料理評論家に指名されたので嫌いな食べ物を克服する話、35種類のケチャップを試食・審査する話、アルザスまで行ってほんもののシュークルートを求めて一日二度、五日間シュークルートを食べる話など。身体を張った彼の探求には、ただただ恐れ入る。暴走加減も可愛らしい。
殺虫剤とか防黴剤とか遺伝子組み換えとかでなく、「コブラが毒を用いるように、植物が生きていくために、種を存続させるために生成する新鮮で自然な毒」という野菜の危険性の話なども、あたしには新鮮で興味深い。原書は10年前に出たものなので、たぶん研究の進んだ今、この本にあるいろいろな問題はどうなったのでしょう。
「修理人」の章では、ダマダマに分離したケーキの生地の解決策なんて、あたしも知りたい! とドキドキしながら読み進むと、うふふ。
読み終えてしまうのが寂しくて辛く感じられたくらい。『やっぱり美味しいものが好き』も近々読みたい。

すべてを食べつくした男 (文春文庫)