静物画の秘密展

国立新美術館に「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」を見に行った。静物画とは呼ばないだろうと思われる作品が多いものの、そんなことはどうでも良い。こってり重厚で豪華な楽しい展示。こういう静物画って、血が騒ぐというのか、身体の内側から何か込み上げてくるものが感じられる。解体された牛や豚の絵を見ながら、ジェフリー・スタインガーテンやアンソニー・ボーデインが豚の解体を見学した文章だとか、大草原だか大きな森だか忘れたけれどローラ・インガルスの話を思い出しつつ、やっぱり肉を喰らう人間は面白いよねえ、なんて思う。ダーフィット・テニールス(子)の「老人と使用人の女」という、薄暗い台所で使用人のふくよかな女の胸元に手を入れるじいさんと、その様子を窓から覗く人、なんて絵があったり、アントニオ・フーガの「オレンジの花を持って笑う男」という、歯茎を見せて笑う男の顔がぎょっとさせる不思議な絵もあったりする。描かれたものの意味などお勉強すると、またもっと興味深く見られるのだろうけれど。これは図録も買う。