『私の奴隷になりなさい』

私の奴隷になりなさい』(サタミシュウ 角川文庫)を読み終えた。この作家のことを三浦俊彦ではと書いている方がいると教えてもらって読んでみたもの。そんなことを知らずに読んだのなら、現役の日本の作家をそんなに知っているわけでもないし、誰だか見当もつかないと思うのだけれど、「三浦俊彦なのか?」と意識して読んでしまうと、性的な部分が全然エロさを感じさせないところとか、後半から特に最後の男2人の会話が三浦俊彦っぽいような気もする。でも作家が誰でも構わない。気に入る。3年前に出た作品というのを考慮しても、ここに書かれている行為ってどれもありきたりというのかソフトというのか、SMじゃなくても別に普通にこれくらいするでしょ? っていうのが多くて、たぶんそれが書きたいわけではないのね。色恋に関してはどちらがより相手を好きかで自動的に主従関係を自分の中で勝手に作ってしまうので、なんだか読んでいてしっくりとくる部分も。Sir Stephenは難しくてもこの「御主人様」なら出会えそうな気もするという夢も与えてくれるよ。リリー・フランキーの解説で、最後に「(談)」となっていたのに笑う。さて、「SM青春小説」とあり、「SM青春」といわれて真っ先に浮かぶのは『月光の囁き』で、映画は大好き。やはり原作も読もうかしら。
私の奴隷になりなさい (角川文庫)