読んだ本

もう出ないのだろうと思っていたので驚いた。そして、その後のことには、驚きは無かったものの、何と言って良いのかわからない。仕事と他の1つか2つくらいのことに気をとられて、色々なことが疎かになっていたけれど、お洒落して、きれいな物やかわいい物を眺めたり身の回りに置いたりしなくては。

本屋大賞というものには全く関心が無いのだけれど、少し前に妹らがTVで映画を見ており、『博士と狂人』は良かったし、辞書を作る人の話なら面白いだろうと思ったから。出版社に勤務して辞書を作ろうとしている言葉に敏感なはずの人が、仕事中に上の人に向かって自分のことを「俺」って。出版社じゃなくたって、会社員なら「俺」とは言わないのでは。仕事から離れた時とか、上司のいない場での会話なら、わかるけど。ネーミングのセンスとか、言葉の選び方とか、ちょっと受け入れられなかった。

久し振りに、ものすごい破壊力というのか迫力のある作品を読んだ。『ひげよ、さらば』しか読んだことがなかったけれど、他の作品も読みたい。子供が読めばトラウマになりそうなものの、大人が読んだ方が怖いのではないかしら。内容から、しばらく新刊で読むことは難しい気がしつつ、今こそ読んだ方が良いような。吉田足日の評に「おとなが読めば、これは現代日本の物語でもあります。」とあり、それは恐ろしいくらい今も当てはまる。最後の血まみれの老婆が山に向かって歩いて行く場面が素晴らしい。白土三平の『カムイ伝』か『カムイ外伝』(昔、辞書みたいに分厚い本で読んだのは、どちらだったのか忘れてしまった)を思い出させた。


美貌帖   舟を編む