見た映画と今後のたのしみ
- 『つかのまの愛人』L'Amant d'un jour(フィリップ・ガレル Philippe Garrel)
前作に続いて、また、ルイ・ガレルがいないなんて! と思っても大丈夫。雰囲気の似た妹のエステル・ガレルが出ているから。最後の爪先立ちでキスする姿もかわいい。彼女の他の出演した作品も見たい。俳優が皆良かった。
そういえば、Netflixで『愛の残像』(La Frontière de l'aube)、『灼熱の肌』(Un été brûlant)、『ジェラシー』(La Jalousie)を見ていた。『ジェラシー』は劇場でも見たものの、それ以外は存在すら知らなかった。『愛の残像』はものすごく沁みる。
どの作品でも、風景、建物、インテリア、画面におさまっているもの全てが完璧に感じられるけれど、特に衣装、小道具などが良くて面白い。
それから、ルイ・ガレルが出ていると知って『SAINT LAURENT サンローラン』(Saint Laurent)も見た。衣装は贅沢で楽しいものの、少し退屈だった。ルイ・ガレルって、フィリップ・ガレルの映画に出ている時のキャラクタも含めて好きな気がした。というより、彼の映画でルイの演じる人物が、ルイが演じていることもあってなのか魅力的過ぎるのね。
- 『アンダー・ザ・シルバーレイク』Under the Silver Lake(デヴィッド・ロバート・ミッチェル David Robert Mitchell)
遅い時間の回だったからか、観客の男性率がとても高かった。9割くらい。ある種のある世代の人たちに対して「あなたたちの好きなものを全部詰め込んでやったよ」と言われているような映画。2時間19分、長い。長く感じた。楽しくもあるけど、なんというか、あたしにはちょっと合わない。
書き忘れたので追記しておくと、O嬢のラストにもあるような、裸にフクロウのマスクって、素直にすごくかっこいいよね。
直前に予習に『アメリカン・スリープオーバー』The Myth of the American SleepoverをNetflixで見たけれど、こちらは良かった。好き。夜が特別だった頃を思い出させる。
『Matilda』が『マチルダ 禁断の恋』として日本でも公開されるのが楽しみ。『ゆれる人魚』ミハリーナ・オルシャンスカ Michalina Olszańskaが主演。キラキラ豪華な映像の大作って感じで、これは日本でも見られるのではないかと思っていた。嬉しい。
その前に彼女も出演しているドラマ『1983』がとうとうNetflixで今月末から始まる! これ、早く見たかった。
1983 | Official Trailer [HD] | Netflix
『Pokot』(Jakub Gierszałも出演しているし)と『Twarz』がポーランド映画祭で上映されているようなので、そちらも、そのうち見られるかなと期待している。
BB Brunes
仕事とかなんだか色々と気分だけ追われて、11月。もう忘年会の話題も出てきて「待って、待って」と泣きそう。
BB BrunesがNew Orderの「Blue Monday」をフランス語でカヴァーしていたのを見かけた。こんなの知らなかった。Félixも歌っている。これの50分過ぎたくらいから。
Jérémy Frérot et BB Brunes dans #LeDriveRTL2 du 29 juin 2018
彼らのカヴァーした曲も好き。Metronomyの「Everything Goes My Way」やSantogoldの「I'm a Lady」は英語で歌っていたけれど、Supergrassの「Alright」はフランス語で。世代的にすごく馴染みがある曲だし「フランス語バージョン、かわいいなー」とよく聴いていた。でも、よく見たらフランス語訳じゃなくて、曲名からして全然違う歌詞ですごい。
Cul et Chemise
Benjamin Biolay
先週、とうとう夢で会えた!
パサージュのような、どこだか知らない場所で、何人かの集まりの中にバンジャマン・ビオレがいたので、ものすごく緊張しながら近付いて、フランス語と英語の混ざった、さらにたぶん間違ってもいる言葉で「あなたの作る曲は素晴らしいです。大好きです」というようなことを話しかけていた。
目が覚めて、もう思い残すことは無いのではないかとも思ったけれど、そういえば、まだ見ていない映画もあるし、彼のライヴだって行ったことないし、まだまだ、色々あった。『La Douleur』も来年『あなたはまだ帰ってこない』という邦題で日本でも公開されるそう。
英語もフランス語も、本が読めて映画が見られれば良いから、書くのも話すのも後回し気味なものの、何があるか分からないから少しは出来た方が良いのね。
読んだ本
- 『天国の南』South of Heaven(ジム・トンプスン Jim Thompson 小林宏明・訳 文遊社)
良かった。詩も書く若い放浪者。これまでに読んだ彼の作品に、こんなかわいらしい主人公がいただろうか。その場の空気の感じられるような描写。ラストも楽しい。たぶん彼の作品の何を読んでも好きなのではないかしら。この会社から何冊も出ている分を、どんどん読んでいきたい。
- 『君の名前で僕を呼んで』Call Me by Your Name(アンドレ・アシマン André Aciman 高岡香・訳 マグノリアブックス)
エリオとマルツィアとの関係など、映画とはちょっと印象が違う。ローマでの詩人たちとの一夜の場面が好き。第四部の映画で描かれなかった部分も、現実的な生々しさが響くのだけれど、ローマの一夜も後日譚もカットしたことが映画にとっては良かったし、映画の最後で二人を会わせなかったのも、脚本すごいなって思った。映画の続編って、この小説からは考えられないのだけれど、全然別の話になっていくの?
一仕事終えたら疲れが取れなくて、ずっとぐだっとしていた。弱いな、身体。Jakub Gierszałの『Beyond Words』(Pomiędzy słowami)をやっと見た。美しくて重たい。好き。とりあえず、もう1回見たい。
And Then There Were None(そして誰もいなくなった)
『And Then There Were None』(Agatha Christie Washington Square Press)
クリスティはそのうち英語で読もうと思っていたので、古いペーパーバックを見かけて読み始めたら、BBCのドラマがGYAO!で見られたから、そちらも見た。このドラマはBSで放送された時に録画したのをもらったのだけれど、それがブルーレイで、プレイヤーが無いから見られなかった。再生できるはずのパソコンも壊れたし。そろそろプレイヤーくらい買うべきなのか。
ドラマが面白くて、結末を知る前に本も読んでしまおうと、第3回が配信される前に、だーっと一晩で読んだ。古い本だから「Indian Island」だったけれど、今はSoldier Islandなのね。「Enriched Classics Series」とあって、絵や写真も入った解説のページがあるのだけれど、本編の後でなく、本の真ん中にある。そして、映画の、残った2人が海岸にいる場面と、1人になった最後の場面の写真があって、驚いた。これはクラシックで多くの人がストーリーを知ってるだろうし、知っているうえで新たに作られるドラマなども楽しんでいるのだろうし、あたしだって昔ドラマか映画か何かで見たのか、誰もいなくなった後の事は知らなかったか忘れたかしていたものの、ざっくりとした話は知っていた。最後の1人がどうなるかも。でも、本編後半の前に結末の写真なんて。このシリーズのリストを見たら、他はほとんどミステリじゃなかったから、こんな構成なのか。昔ちらっと読みかけた「ミステリを原書で読もう」というような本に、クリスティが読めなければ、英語で読むこと自体を諦めたらとあったので、少し意地で読み始めたけれど、3人いなくなった辺りから夢中で読んでいた。
ドラマは雰囲気も衣装も素敵で、俳優が皆良かった。エイダン・ターナーの色気がすごい。全開ではない、にじみ出るような野蛮さというのか。他の出演作の画像を見ても特に感じるものが無いのだけれど、このロンバード役の彼と目が合ったら気絶しそう。結末も良い。
Subterranean Homesick Blues
見た映画、ポーランドとドイツ
先週だったか、「ネットで話題になっている『シェラ・デ・コブレの幽霊』って何だっけ?」と訊くと、一緒にナイトスクープを見たじゃないかと言われ、ぽかんとしていたのだけれど、ぼんやりとそんなようなことがあったのを思い出した。見たいな。
以下、全てNetflixにて。
- 『アメリカから来たモーリス』Morris from America(チャド・ハーティガン Chad Hartigan)
Jakub Gierszał(Jakub Gierszal)が大学生でDJ!! そんなに長い出演でもないのに、軽く怪我している。ショーン・ビーンが頻繁に死ぬように、Jakubも無傷ではいられないのか? 彼の美しさは、傷付けてみたいというサディスティックな欲望を制作者に呼び起こすの? 彼が目当てで見たけれど、わりと面白かった。父親と息子の会話が良い。
主人公のモリスは、アメリカからドイツのハイデルベルクに引っ越したら、周りは白人ばかりで、という話で、ドイツについてほとんど知らないから、現代も黒人は少ないのか、ベルリンだとそうでもなかったりするのか、よく分からない。『Sala Samobójców』(Suicide Room)を見た時に、ファッション関係の仕事をしている母親が「東欧向けの広告なのに、彼は黒人でしょ」ってスタッフの選んだモデルの写真にダメ出ししている場面があって(見直してないから、間違っているかも)、ポーランドの映画を何本か見て、歴史ものでなくても白人しか出てこないのが少し気になっていたのだけれど、実際に割合的に黒人の人が少ないのかな、と思ったのを思い出した。
子どもは、自分の子であっても別の人格を持った他人で、その事を尊重しないといけないのだろうな。この親子が新しい土地で楽しく暮らせることを祈りたい。
- 『イレブン・ミニッツ』11 minut 英 11 Minutes(イエジー・スコリモフスキ Jerzy Skolimowski)
ホットドッグにマヨネーズとは。ポーランドでは、ポピュラーなのかしら。
犬の視点なのか何なのか、ものすごく下からだったり、上からぐるぐるしたり、カメラの動きが、少し気分を悪くさせる。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』に行った時に途中で吐きに消えた妹と一緒に見に行っていたら、彼女はまた吐いていたかも。
Mateusz Kościukiewicz(Mateusz Kosciukiewicz)が出演しているから。犬を連れてくる元ボーイフレンドの役。なんと読むのか分からなかった名まえも、マテウシュ・コシチュキェヴィチと表記されているのを知った。Andrzej Chyraは、アンジェイ・ヒラ。
不穏な感じで、ずっとそわそわ落ち着かなくさせて、どーん! なんとなく想像してた。それぞれのキャラクターの話の繋ぎ方に、少しイラっとする。
- 『ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー』Elles(マウゴシュカ・シュモフスカ、マルゴスカ・ズモウスカ? Małgorzata Szumowska)
原題がシンプル過ぎて他の作品と被りそうだし、全く異なる邦題をつけるのは理解できるけれど、この邦題は!? 邦題でかなり損をしてそうな、見たら気に入る人に届いていないのでは。
ものすごく良かった。好き。ジュリエット・ビノシュも素敵。口にものが入ったまま大きく口を開けて笑う場面も良い。裸で「枯葉」を歌う男。ビノシュも若い2人も、職業や環境が違っても、周りの男性からはいわゆる女性としての役割とされていた事しか期待されていなくて、3人共、普段は一人で闘っているし、あたしもがんばろう、って気になる。
映像がきれいで洒落ていて、誰か気になったら、これも『愛の原罪』や『Wszystko, co kocham』(All That I Love)のMichał Englertによるものだった。彼は、この監督の作品の撮影監督をずっと務めているのかしら。知らなかったけれど、この監督の作品は日本でも公開されているようなので、どんどん見ていきたい。この監督、以前、見たいと書いた『W imię...』W imie...(In the Name of)の監督で、さらにMateusz Kościukiewiczと結婚していたとは!
男性の監督と女優の妻、という組み合わせで仕事しているのはよくあるものの、女性の監督が男優の夫で映画を撮るって、あまり無いのでは。あたしが知らないだけかもしれないけれど。アニエス・ヴァルダの夫も監督だったし、ミア・ハンセン=ラヴも。
この記事の二人、素敵過ぎて眺めているだけで倒れそう。
www.vogue.pl彼が主演の新作も気になる。