『アムネジア』

『アムネジア』(稲生平太郎 角川書店)を読み終えた。『アクアリウムの夜』が気に入ったのなら、と貸してくださったもの。「究極のミステリ!」とあるので夜中にベッドの中で読み始めたら、だんだん怖くなってきて、キッチンからラップ音が目立つようになってきた気がしてきて、こんな本は独りの夜に読んでいてはダメだと本を閉じて興奮する頭で一所懸命眠る努力をしていたのが昨夜。今日はお腹が痛かったのであれこれサボって、昼なら大丈夫とベッドの中で読む。なんというのか、得体の知れないものが部屋の外をうねうね蠢いているような気がして、視界の端で揺れているのは風にはためく洗濯物だと知っているのに窓の方が見られない。ベッドの外に出るのも怖くて、布団の中で縮こまっていた。気味が悪くて身体の内側からぞぞっとして止めたい止めたいと思いつつ、読まずにいられない。この恐怖は誰かに分け与えねばならぬと実家に行ったついでに『アクアリウムの夜』を妹に押し付けてきた(この本は借り物だからね)。でも面白かったからもう一度最初から読みたいような、もうこれ以上関わるなと本能が止めているような。これから独りでトイレ行って眠らなきゃならないなんて。
アムネジア