『完訳 Oの物語』

『完訳 Oの物語』HISTOIRE D' O(ポーリーヌ・レアージュ Pauline Réage 高遠弘美・訳 学研)を読み終えた。ずっと発売を楽しみにしていた。この本を編集されたのは、とてもかわいらしい女性。赤くて素敵な本。カバーのOの中を見て、BajofondoのCDを買おう買おうと思いつつまだ買っていなかったことを思い出した。先週、この本を買いに行ったらまだその本屋に置かれていなくて、代わりに『愚者が出てくる、城寨が見える』を買って帰ったら、解説にドミニク・オーリーのことを男性と書かれていて(「女性」と書くつもりだったとしか思えない)、少しぎょっとしたのだけれど、Oを手に入れられなかった日にこんな文を見つけてしまうのも何かの縁かしらん、と笑う。その翌日に別の店で無事入手した。
マンディアルグの文章と、英訳で適当に読んだだけの「恋する娘」と「ふたたびロワシーへ」を日本語で読めたのは嬉しい。ただ、この続編については、ひどい出来だから期待しないように、と読む前に何度も忠告を受けても、すごく好きな作品の続編なのだからたとえどんなものでも読みたいんだもん、と意地になって英訳を読んでみたものの、がっくりしたというのか腹立ちすら憶えたのは過去の日記にある通り。知りたい、納得したい、という欲求を満たすためにこの本も読むのだけれど、その欲求はきちんと満たされたのに、やはり「読まなきゃ良かった」「なかったことにしたい」と思わせるものなのね、この続編は。マンディアルグの文章で、ちょっとは機嫌もなおるのだが、何度も読んで話自体は知っているのだから、続編を読んでから本編を読んだ方が気分よく眠れるかも、素敵な夢が見られるかも、なんて思う。とはいえ、最後の解説も含めて全部をこうやってきちんと読めたのは、本当に良かった。
さて、このマンディアルグの文章、英訳の本にも入っていたものの面倒くさくなって、結局読んでいなかった。「Roissy-en-France」が英訳は「A Note on Story of O」で、タイトルが全然違うし、ぱらぱらと見比べると原文にない単語がいくつも目にとまるので、英訳に収められているのは全く違うところから持ってきた文章なのではないかしらん、と気になっていたのだけれど、今確認すると『Le Belvédère』という本にあるものらしい。やっぱり別物なのね。これだけ、今度読もう。
完訳Oの物語