『オリンピア・プレス物語 ある出版社のエロティックな旅』

オリンピア・プレス物語 ある出版社のエロティックな旅』THE GOOD SHIP VENUS(ジョン・ディ・セイント・ジョア John de StJorre 青木日出夫・訳 河出書房新社)を読み終えた。面白い。もっと早くに読めば良かった。
第8章「『O嬢の物語』の本当の物語」で、SirStephenのことを「サー・スティーヴン」とされていて、ステファン卿ってイギリス人だから実はスティーヴンの方が良かったのかしら、なんて思ったけれどどうなんだろう。続編というのか最終章というのか『Retour à Roissy』について、ドミニク・オーリは「きわめてひどい作品でした。書いたのは間違いでした」「公表すべき作品ではありませんでした」と話していたらしいが、ジャン=ジャック・ポーヴェールは最終章として校正刷りにまでなったけれど彼とジャン・ポーランが割愛したいと彼女にいったら彼女は気に入らなかったようだけれど好きなようにすればといったので最終章を外したと語っているのだそう。本当のところはどうなのよう、とじれったく感じていたら、たまたま見たWikipediaのドミニク・オーリーのページには、近年出た彼女の伝記によると彼女は続編の執筆をしていない、とのことで、この伝記がすごく気になる。この本を読んでいてふと思ったのは、河出文庫のO嬢のカバーに「ガブリエル・デストレと……」っていう有名な乳首をつまんでいる絵が使われているのは、O嬢の英訳がサビーヌ・デストレによることと関係があるのかしらん。英訳者もペンネームで誰なのかはっきりとは分からないみたい。
アンディ・ウォーホールを撃ったヴァレリーソラナスは、実はあの日の本命はウォーホールじゃなくて、狙っていたのはモーリス・ジロディアスだった、とか驚くことがいっぱい。
オリンピア・プレス物語―ある出版社のエロティックな旅