今年見た映画

元のタイトルを全然知らずに見て、最後にタイトルが見えた時に驚いた。3、4と続いていくの? 続いて欲しい気もする。英語の「Blue Is the Warmest Color」よりも、この作品をきちんと表しているのでは。恋を失っても、別に世界は終わってくれなくて、生活は続くのだよね。原作のバンド・デシネも「Le bleu est une couleur chaude」で、そちらは読んでいないけれど、映画ではアデルのお話になっているし。食べる、セックスする、眠る。たとえ皆が美味しいといって食べていても、スパゲティがあまり美味しそうに見えないのは、意図されたものなのかしら。アデルを見ていたら、なんとなくロマーヌ・ボーランジェを思い出した。

100歳を越えて現役で監督していることにも驚くけれど、どんな人が監督したか知らずに見たとしても、ぎょっとするような作品で、なんだかすごい人だと思う。「ニーチェの馬」とドールヴィイの『デ・トゥーシュの騎士』とか。舞台のお芝居みたいだと思って見ていたら、戯曲がもとになっているそうで、納得。
NHK「テレビでフランス語」のテキスト5月号を眺めながら(懲りずに人生何度目かの入門)、「『クレーヴの奥方』の映画って、舞台が現代だったよねえ?」ときいたら、「何度も映画化されていますが」とのことで、あたしはキアラ・マストロヤンニのしか見ていないよ、といって調べたら、それもオリヴェイラが監督したものだった。

ウィレム・デフォーって、昔は顔が怖くて苦手だったのが不思議なくらい、今見ると色気があっていいなあ。ヨーロッパに置いてみたら観光客のアメリカ人にしか見えなさそうな俳優もいるけれど、この人はどこに置いてもあまり違和感が無さそう。

これは、録画してあったもの。去年末に「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」を見たから。以下、後者を見た時のメモ。人間臭さの感じられないティルダ・スウィントンは、美しい。吸われたい。ジョン・ハートは見かける度に死んでいるような気がする。何も考えずに反射だけでふらふらしているように見える生き物を日頃「ゾンビみたい」と思っていたので、「そうよね、やっぱりゾンビって呼ぶのよね」って、勝手に納得。彼からしたら、あたしもゾンビなのか。精神的にちょっと弱くて面倒臭い男性というのは、かわいい。ただ、アダム役の俳優は、久しぶりに買った「エル・ア・ターブル」で見たら、すごく普通に好青年で、あたしはあんまり興味無い。デトロイトの夜の景色も、タンジールの路地もうっとりするくらい素敵で、二人のお部屋も良い。どこか旅行に出たくなる。モロッコに行きたいよう、と、その後で食事しながら話していた。まずは、まだ読んだことのない(といったら呆れられた)ポール・ボウルズを読もう。