『Pourquoi tu pleures ?』から『新車の中の女』

ちょこっと臨時収入があったので、久し振りに少しCDとDVDをAmazon.frで買った。

  • 『Pourquoi tu pleures ?』(Katia Lewkowicz)

Benjamin Biolayが主演で、共演者もEmmanuelle Devosの他にも名前は知らなくても見たことのある俳優が多いため、この映画の存在を知ってからずっと、すごーく見たくてたまらなかったのを、やっとDVDで。日本で発売されている映画もまだ見ていないから、そちらを早く見れば良いのだけれど、引越したらレンタル屋が遠くなってしまって。フランス語なんてNHKのTV講座を見ているだけなので、全然分からないだろうと思っていたけれど、適当にメニューを押したらフランス語字幕が表示出来て、字幕無しの状態よりは10倍くらい理解できたような気がする。字幕があると知らなかったし、本当にありがたい。でも日本語字幕がある状態の10分の1も理解できていないだろうなあ。
『なぜ泣いているの?』
Benjaminは、結婚を間近に控えているのに、婚約者は映画の半ばまで登場しない。別の女の子と出会って仲良くなってしまうし、婚約者の両親や親族は外国人なのか地方の人なのか、言葉が通じないようで、文化もかなり違うみたいだ。父親の墓参りで、結婚の報告をしながら涙ぐむBenjamin。結婚式の前夜に、女の子には「明日、結婚するんだ」と泣きながら打ち明ける。翌日、式の直前まで、なんだか大変でおかしくなりそうなBenjamin。結婚式の様子と、女の子が部屋で泣いている様子が映される。 (色々間違っている可能性あり)
あたしのMacがCDは読めるのにDVDが読めなくなってしまい、仕方なく実家に帰って妹のPCで見せてもらった。新しいPCを買ったら、字幕の単語を調べながらでも、気長に何度も見ていきたい。

POURQUOI TU PLEURES ? - Bande annonce



こちらは先月フランスで公開されたもの
『La Dame dans l'Auto avec des lunettes et un fusil』

La Dame dans l'Auto avec des lunettes et un fusil BANDE ANNONCE

予告を見ながら「なんか、『銃と何かを持って車にのった女』とかいう映画が出来たみたいで、名のある監督の作品みたいだし、日本でも公開するかなー」と言ったら「そんな、つまらなそうなタイトルの映画なんか、公開されないだろう」なんて返事をされたのだけれど、調べたら『新車の中の女』という小説の映画化で、映画化と関係あるのか無いのか、新訳も出たらしい。新訳は『新車のなかの女』。それなら日本でも公開されるかしら。原作を読んでおけば、たとえ映画が日本で公開されなくてまたフランス語のみのDVDを買ったとしても、大丈夫そうだと思っていたら、家の中から『新車の中の女』が出てきた。旧訳の方。それで早速読む。

  • 『新車の中の女』(セバスチアン・ジャプリゾ 望月芳郎・訳 創元推理文庫

最初の一文が「わたしはまだ海を見たことがない。」で、ガソリンスタンドの洗面所のタイルの床に転がっている美女なんて、素敵!! 
「けれどもわたしは、海を見た人々を嫌っていた。見てない人も大嫌いだった。要するに社会を嫌っていたわけだ。わたし自身をも嫌っていた。」「年は二十六歳だが、精神年齢は十一歳か、十二歳ぐらいだ。」など、容姿を置いておけば、なんだか他人とは思えない。
何十年も前に発表された作品のネタばれも何も無いと思うのだけれど、謎解きが全てだという人や、まっさらな気持ちで読みたい、見たいという人は、以下は読まない方が良いのかもしれません。重要な事は何も書かれていないけれど、別に読まなくても全く後悔しないだろうし。
Benjaminの演じる役がMichel Caravailleだということは、本を手に取る前に知っていたのでBenjaminを当てながら読んでいた。主人公を演じるFreya Mavorと二人の名前がばーんと並んで出ているのだから、飛行機でどこかに行ってしまったきり、という事は無いよね。ということで、ミステリの映画って、俳優のスター度などから、犯人とか重要な人物が見る前にわかってしまったりするのは仕方が無いのかしらん。でも、TV欄に一番目か二番目に載っていた俳優目当てで映画を見てみたら30分も経たないうちにあっけなく死んでしまって、主役か準主役なのだから実は死んでいなくて後で出てくるはずだ、と思ってじっと待っていたら最後まで出てこなかったという映画より、ずっと誠実で良心的ではないか。昔『エグゼクティブ・デシジョン』をなぜか借りて見た時、カート・ラッセルセガールがダブル主演みたいなパッケージなのに、セガールが早々に飛ばされてしまったことも思い出した。これはセガールは目当てじゃないから全く問題無いのだけれど。
Benjaminが暴力をふるう太った人(体重が百キロ近くあるそうだ)の役なのは良いとして、コキュだなんて。くはは、似合わない。『イングリッシュ・ペイシェント』や『恋におちたシェイクスピア』を見たときの、ファインズ兄弟なんかより、コリン・ファースの方がずっとずっとハンサムでセクシーなのに!! という怒りに似た感情を思い出した。2作品ともそれ以外はほとんど憶えていない。コリン・ファースが美女や美男と恋をする映画を見せて! という願いは、その後充分にかなえられたし、まだ見ていないものもあるし。そういえば『キングスマン』は先週見た。話を戻すと、Benjaminのコキュは、なんというか新鮮な感じで、早く見てみたい。
時刻表を読む趣味も無く、数字ばかりで子供の頃は勝手に苦手だと思っていたし、食わず嫌いで、何時の○○行きに乗って、何分に××駅で△△行きに乗り換えて、などと書かれていると想像したら、鉄道ミステリには全くそそられない。それの自動車版というのか、何日の何時にどこを通ってここに立ち寄って、などと丁寧に説明されているのを、地図を辿りながら、半分くらいどうでも良いなあと思いながら読んでいた。でも事件が片付いた後の、最後の2頁は好き。
新車の中の女 (1968年) (創元推理文庫)