『The Easter Parade』

『The Easter Parade』(Richard Yates Vintage)を読み終えた。以前、どこかで山崎まどかが紹介しているのを読んで、そのうち読もうと思っていたものを、ちらっとみてみると、すごく読みやすそうな、ぐいぐい読み進めたくなる文章だったので。スラングも固有名詞も専門用語もほとんど無くて読みやすい文章のため、「あたし、意外と英語読めるじゃん」と勘違いさせてくれるけれど、日本語の3〜4倍くらい時間かかるのかしら。

「Neither of the Grimes sisters would have a happy life,」で始まる作品に、もちろん腹を抱えて笑おうとか元気をもらおうとか思わないけれど、あまりの悲痛さにどどーんと気分が重くなった。美人な姉は早くに結婚して郊外で主婦になるものの、実は長年夫の暴力に悩まさせられていて、別れて自活しようにも仕事がないだろうと離婚にも踏み切れずに弱っていく。妹は勉強し仕事して都会に住み恋を重ね、その当時、端から見ると自立した女性で好きなように生きているみたいだけれど、恋愛はいつも不毛で、40代になってから恋人が去り、気付くと職場は居辛くなり失業し次の仕事が見つからず、ふと鏡を見ると見知らぬさえない老けた女がいて、孤独で、 なんて話を、この時代にこの歳で読みたいかというと、全然!! なんで今、これを読まされてしまったのかしら、といった気分。好きかどうかというと、好きなのだけれど。他の作品も読みたいくらい。最後のあたり、なぜか『欲望という名の電車』が浮かんだ。フローベールの名を出しているカート・ヴォネガットのコメントを見て、少し前に『ボヴァリー夫人』は読むべきだと言われたことを思い出したものの(10代の頃に読んでおくべき本って、という話をしていたら、『ボヴァリー夫人』と『デミアン』をあげられて)、続けて読んだらたぶんあたし起き上がれなくなりそうなので、しばらく保留。次は全然違うタイプのものを読みたい。
The Easter Parade