『ローズ・マダー』から『Sherlock』

『ローズ・マダー』Rose Madder(スティーヴン・キング Stephen King 白石朗・訳 新潮社)を読んだ。先にペーパーバックを見かけて、全然知らないタイトルだったので読み始めたら翻訳を見かけたので、そちらでラクさせてもらった。キングの文章って、あたしの英語のレベルだとまだ厳しいのかも。1995年の作品。DVのひどい夫から逃げて新しい生活を始めようとするロージーと、夫ノーマンの追跡の話で、DVやモラルハラスメントなどを経験した人が読むとフラッシュバックとかありそうで、危険な気もする。ここまで酷い経験は自分には無いのに、それでも、特にノーマンの一人称の部分で気分が悪くなって、何日も眠れなかった。作品としては面白いし、先が知りたくてぐいぐい読んでしまう。エピローグも、キングらしい感じがして良い。

Sherlock』の『The Abominable Bride』の、墓を掘り返す場面で、マイクロフトが「Cherchez la femme」と言うのだけれど、英語の字幕でも仏語のそのままだった。あたしも、それを直訳できる程度には仏語もわかる。英語圏の『Sherlock』を見るような人には仏語を勉強していなくても通じるような、ミステリではよく出てくるフレーズなのだろうかとぼんやり思ってそのままにしていたら、『ローズ・マダー』に「『女を探せ(シェルシェ・ラ・ファム)』というやつね。」とあったので、「おー!」と声を出しそうになった。「Cherchez la femme」で検索するとここに『Sherlock』の『The Hounds of Baskerville』についても触れられていたので、見てみたら暖炉の前でシャーロックは本当に「Cherchez le chien」って、言っていた。日本語の吹き替えや字幕では、それぞれどうだったんだろう。

Sherlock』のDVDを初めから全話をもう一度見たら、2度目で理解できる部分が増えたし、伏線に気付いたりで、前回よりも楽しめた。日本でも放送されたから書いてしまうけど、シーズン4の2話目で、「マイクロフトにロマンス? それとも何かの罠なの?」と、ものすごくドキドキして翌日すぐに3話目を見たら何も無くて、2話目のあの場面を撮ったこと忘れちゃったのかな? って最初に見た時は悲しかったことについては、最近、デートの場面も用意していたのに入れる余裕が無くなった、という情報を見かけた。うー。見ている間はジェットコースターに乗せられたように考える余裕もなく連れまわされて、楽しくもあった。ホームズ家のために、どれだけ税金が使われてどれだけの人が殺されたの? っていうのも、まあ良い。でも、3話目の推理させるのでなく頭を使うを必要がほとんど無くてただ精神的に追い詰めるようなゲームはなんだか違う気がするし、引っかかる部分も多かった。それでも、予算も増えたし久し振りにスケジュールの都合がつけられた主役にあれもこれもやらせてみたい、というような制作側の過剰な熱意や愛情が伝わってきて(あたしの誤解でなければ)、ぎゅうぎゅう詰めで細かいところまで作りこまれていて、セリフも気が利いているし、色々と文句言いつつも、好きかなあ。日本語字幕か吹き替えで、もう少し細かいところまで理解したい。

そういえば、ルパート・グレイヴスが出ている以外全く良いと思えなかった『ダメージ』のパンフレットを見かけて、彼のプロフィールのところを眺めていたら、「イヴリン・ウォー監督の『ア・ハンドフル・オブ・ダスト』」(手許に無いから正確じゃないかも)って書かれていて、ぎょっとした。彼がピアノを弾いたり素っ裸で走り回っていた『眺めのいい部屋』を久し振りに見たい。
ローズ・マダー   Sherlock - Series 1-4 & Abominable Bride Box Set[DVD][PAL](Import)